リャマたちの歓迎(?)を受けた後、歩みを進める。
マチュピチュは、クスコよりは標高が低くすごしやすいそうだ。
もやもやした霧の中に・・・何かが見えてくる。
雨期でも乾期でも、朝夕のマチュピチュは霧が多い。
映像でも写真でも撮影泣かせらしい。
低地の温かい空気と高地の冷たい空気がぶつかって霧が多く発生する。
この霧もマチュピチュの景観や自然を保っている。
歩き進めると霧の隙間からうっすらと建造物が見えてくる。
さあ、天空の城に到着だ。
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昼頃にプヨパタマルカの遺跡に到着。
サルカンタイ峰を望む稜線の下にある。
雨期だったのか、ガスがすごい。
霧の高地のテラスという名前通りの状態。
他のグループの登山者もポンチョらしきものを羽織っている。
雨は降っていないが、びしょ濡れになるのだ。
ここにも小規模ながら、段々畑が見られた。
霧でよくは見えなかったのだが。
あまり住居らしいものはない。
山の上のほうには、水が湧き出ていた。
乾季でもこの水は石積みの水槽の中を流れているそうだ。
つくづく、高度な技術で建設されていると思う。
インカトレイルを歩いて3日目あたりに到着する。
これは、ルンクラカイ(籠型の小屋)。
真ん中は円形で、周りは半円の遺跡。
なんともいえない美しい形をしている。
植物で編んだような籠みたいな形である。
食糧小屋だという。
あまり多くないけど、インカ時代の建造物の曲線が好きだな。
小さいけれど、本格的な遺跡である。
えっちらおっちら登ってくるのは、トレック仲間のアルゼンチン人女性たち。
ちょっと離れても、ルンクラカイは美しい。
どうして、こんな形なんだろうね。
標高3500mの大きな岩山を控えたマルカ(館)の遺跡がある。
サヤク・マルカ(切り立った土地の建物)という。
インカの皇帝の宿と要塞をかねていたのか。
頂上部には、楕円形の神殿跡のような遺跡が残っている。
インカの建築としては曲線は多くない。
3500mあたりを上ったり下ったりで、心身はぼろぼろ。
疲労困憊状態であった。
どういう状態で遺跡を見ていたかは、覚えていない。
景色だけ見ていると霧の中の神秘的な雰囲気なのだが。
実際は、ガスの湿気と汗でぐちゃぐちゃである。
高野潤氏の「マチュピチュー天空の聖殿」を読んで、この遺跡の価値がわかった。
この遺跡で目を見張らされたことはいくつかある。そのひとつが水路であった。楕円形建物上部のへりに沿った水路に水を導くために、岩稜との空間に溝を掘った木か何かを渡していたのである。・・・周辺の岩山の斜面はとても湧き水が得られそうには見えなかったが、インカはその上部のどこかに水源を見つけて水を引いていたことになる。
こんな緻密に築かれていた遺跡だったとは。
何重にも警戒して作られていたらしい。
ところがこれが未完成だったという。
皇帝専用のトイレスペースまであったというのに。
スペイン軍の攻勢に間に合わなかったのかなあ。
関係ないけど、使っているアロマ用のホホバオイルもインカオイルだった!
4000mの峠越えの直前。
だんだん足取りが重くなってくる。
さすがにきつくなってきた。
ガスが下りてくる。
マチュピチュへの期待が膨らむ神秘的な雰囲気。
霧の中である。天空に近くなってくる気がする。
本日のキャンプ地。色とりどりのテントが並ぶ。
峠より500m程度下ったところである。
つまり、3500m付近だ。やっぱり。
眠れないからと、こういう高地でアルコールを飲んではいけない。
ペルーにもクスケーニャとかよいビールがあるが。
急性アルコール中毒になることがある。
今ではインカトレイルのトレッキングは1か月前にはいっぱいになるらしい。
このころは、たいしてほかのグループも多くなく、のどかであった。
遠くには雪山も見えていた。
だんだんとマチュピチュが近づいてくる。