antiguate’s diary

グアテマラ好きの旅人です。中南米やアジアの思い出を綴ります。

湖都大津の災害史 「土砂留め奉行」

滋賀県大津市の歴史博物館で企画展が開催されている。

「湖都大津の災害史」

https://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/news/2209.html

https://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/news/image/202209/k89.jpg

この企画展には関連講座も行われている。

3月18日に開催されたのが、

「土砂留め奉行ー淀川水系の砂防を担うー」

水本邦彦氏(京都府立大学名誉教授)

江戸時代の絵図から、淀川水系の砂防についての歴史を教わった。

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・淀川・大和川水系は土砂が流出しやすい砂礫や花崗岩質の土壌である。

昔から土砂の流出に悩まされていたのだね。

・生業(草肥農業)や燃料資源確保のための自然環境への活発な働きかけ

平和を迎えた江戸期に入って急速に新田開発が進んだ。

燃料や草を刈ってしまうから、はげ山が増えていったようだ。

人口も増えてきたのだろうな。

・その結果、土砂災害が加速する。

川下の平野部にも河川災害が拡大していく。

ちょっと現代をほうふつとさせる状態である。

・各領主の領域を横断する広域土砂留め制度の導入。

淀川・大和川水系全体に土砂留め工事が推進される。

ただ、管理者が自分の領地だけでなく、周辺の領地の管理した。

人の領地って、名ばかり管理となることもある。

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・事業を進める中で、いろいろな課題が生じる。

土砂留めのための施策が生業・生活のための資源確保の阻害になる。

山に木が増えることで獣害も増える。

技術的には、ずっと継続しての工事が必要。

財政の裏付けがない。

・川下地域住民からの巨視的な提言も生まれる。

これがいずれ植林に注力した明治政府の砂防事業へもつながる。

・明治初年の景観

江戸時代に進められた「人為」と、自然環境「天為」との複合となっている。

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災害から守ろうと山に木を植えれば、田んぼに必要な芝草が減ってしまう。

イノシシやシカが増えてしまう。

人の意図と自然とのせめぎあいは、永遠に続く・・・

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